基金の意義と背景

慶應義塾が「基金の拡充」を必要とする3つの理由 ~基金の意義と背景~

慶應義塾では現在、教育・研究・医療を財政の面から支える44の基金と呼ばれる資金があります。2018年3月末の時点で、基金の残高はおよそ688億円です。基金とは、慶應義塾の発展に欠かすことのできない、継続的に保有する資金を指します。この資金を一定期間運用し、その運用益によって、学生への奨学金やさまざまな教育研究事業を行っています。

慶應義塾は早くから教育研究のさまざまな事業の充実(学事振興)に努めてきました。なかでも、「福澤基金(福澤諭吉記念慶應義塾学事振興基金)」と「小泉基金(小泉信三記念 慶應義塾学事振興基金)」という2つの大きな基金は、学事の振興と人材の育成を目的として設置され、今年度から慶應義塾に関係する皆様へご支援をお願いしております。本基金へのご支援をお願いしている主な経緯や背景を大きく3つのポイントに分けてご説明し、同時に「そもそも基金とはどういうものか」「基金が拡充されると、どれだけ大きな恩恵がもたらされるか」など、皆様の疑問にお答えいたします!

理由1:豊かで継続的な研究教育支援が可能となる-「基金」は保全されます

慶應義塾の募金事業につき皆様よりご支援をいただく際、大きく分けて「基金」と「資金」の2種類の募集を行っております。

  • 基金 ・・・ いただいた寄付金は保全され、その運用益によって事業が行われる。
  • 資金 ・・・ いただいた寄付金そのものが事業に活用される。

「基金」と「資金」には、このような大きな違いがあります

基金の「運用益」は、慶應義塾において資産運用を行うことで生み出されています。

基金を拡充することで実現できる「豊かな教育・研究の基盤」

「福澤基金」「小泉基金」はそれぞれ、教育研究分野で学生・研究者を広く支援する制度です。2018年度には26件、総額4036万円の支援実績があります。競争的研究資金とともに、教育研究活動を推進し、優れた人材の育成に大きく貢献しています。

〇福澤基金による支援事業
-研究活動を中心とした補助

  • 教員の国外留学補助(派遣・視察も可)
  • 研究費の補助
  • 外国語による出版にかかる費用の補助など

>>福澤基金について詳しくはこちら

〇小泉基金による支援事業
-教育活動を中心とした補助

  • 教員の国外出張費補助
  • 外国人学者の招聘費補助
  • 奨学金
  • 一貫校への支援
  • 体育会活動の支援

>>小泉基金について詳しくはこちら

拡充した基金は保全され、それに伴い拡大した運用益もそのまま維持され、理論的には半永久的に運用収入が増えることによって、支援事業を拡大することが可能になります。運用の結果、基金が減少してしまうこともあるのでは?と疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、慶應義塾では安全でリスクの低い資産運用の方針の下、基金の保全に努めています。

高村象平塾長(当時)は、福澤基金の創設時「学事の振興、学者の育成は義塾百年の計である」と考えました。基金の拡充によって今後100年も豊かな教育研究支援を続けていくことができる、その基盤を確立することができるのです。

○慶應義塾卒業生の皆様 ご活躍の一例

  • 2013年 Times Highter Education(TIMESが発行している高等教育情報誌)世界大学ランキング「世界的な大企業のトップ輩出数」第9位
    元記事はこちら(閲覧にはメールアドレス登録が必要です):
    THE “Global Executives 2013” https://www.timeshighereducation.com/news/alma-mater-index-global-executives-2013/2007032.article
  • 公認会計士 大学別合格者数44年連続日本一
  • 司法試験 大学院別合格者数 2016・2017年日本一(2018年は3位)
  • オリンピック・パラリンピック出場選手 130名超(日本初のオリンピックメダル獲得は卒業生の熊谷一弥選手)

理由2:教育リソースの格差

ここまで、基金拡充によって学生・教職員が得られる支援・恩恵について説明しました。

ここからは、慶應義塾が現在直面している課題について説明します。

創立以来、160年以上の伝統を持つ慶應義塾では、高水準の教育を長く維持し続け、経済界・学術界・スポーツ界で活躍する多くの卒業生を輩出してきました。しかし、教育リソースの格差国内研究環境の衰勢という大きな問題に直面しています。

世界大学ランキングを毎年発表している英国の教育専門誌 「Times Higher Education世界大学ランキング2019」上位の大学について、基金規模を比較した際、慶應義塾の基金規模は1/5〜1/60と小さく、学事振興の財政基盤は不足していると言わざるをえません。

「THE World University Rankings 2019」
https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2019/world-ranking

また、同ランキングの日本版 「Times Higher Education世界大学ランキング日本版2018」によれば、慶應義塾大学は私立大学の中ではトップの評価を得ているものの、国公立上位大学と比較して「教育リソース」で大きく差をつけられています。

「THE 世界大学ランキング日本版2018」
https://japanuniversityrankings.jp/rankings/2018/rankings2018.pdf

教育リソースは「学生一人当たりの資金」「学生一人当たりの教員比率」「教員一人当たりの論文数」「大学合格者の学力」「教員一人当たりの競争的資金獲得数」によって構成されています。これらの環境が、上位の国公立大学と比較した際、十分でないと評価されているのです。

外部資金に頼る慶應義塾の研究費

慶應義塾の研究における自己資金比率はわずか3%と、非常に低いのが実情です。国内の主要大学と比べても厳しい比率ですが、国外の優れた研究環境を持つ大学も視野に入れると、より強く危機感を持たざるを得ない状況にあります。

慶應義塾が、国際化が急速に進む現代において、世界で活躍する人材教育環境を維持するためには、世界水準の自己資金を確保することが急務です。

理由3:公的資金の減少と競争的資金へのシフト

大学が優れた教育水準を維持し優秀な人材育成に寄与し続けるためには、研究機関としても高いレベルにあることが必要不可欠です。

優れた研究に必要となる財源を、現在の慶應義塾は外部資金に頼っています。例えば、代表的な公的研究費補助事業として、文部科学省および独立行政法人日本学術振興会による「科学研究助成基金助成金(科研費)」がありますが、近年は論文採用数や短期的成果を重視する”競争的資金”へとシフトしています。長い時間のかかる基礎研究や、成果を数値などで明確に示すことが難しい研究などは、十分な補助を得にくくなっています。
また、補助額は減少・横ばいの傾向に推移している一方で、応募件数は増加しているため、採択率は下降傾向にあります。

大学間の競争が激化する中、慶應義塾は高い科研費採択件数・配分額実績を獲得することができています。しかし、これは研究者の並々ならぬ努力の賜物であり、こうした負担を研究者に恒常的に求めるような状況は、改善される必要があると考えています。また、配分額についても変動が激しく、長期的な研究計画・人材育成計画を立てることは非常に困難と言えましょう。

「私立大学等経常費補助金」についても、今後は減少もしくは競争的資金へのシフトが想定され、外部資金の獲得は困難の一途を辿ると見込まれています。一方、広くさまざまな分野で行われる基礎研究は、短期的な成果は見込めないものの、長期的なメリットが見込めるため実施すべきである、という判断も十分にあり得ます。研究資金の配分・支援は、教育研究機関の裁量の下、より自律的な財源によって賄われ、さらに継続して資金を確保することが可能にならなければ、教育研究の多様性の維持・発展には結びつかないだろうと考えています。

「福澤基金」「小泉基金」へのご支援をお願いいたします

独立自尊の精神に基づく、優れた教育研究環境を維持するため、慶應義塾では現在「福澤基金(福澤諭吉記念 慶應義塾学事振興基金)」、ならびに「小泉基金(小泉信三記念 慶應義塾学事振興基金)」へのご支援をお願いしております。

慶應義塾では、上述のとおり自由に使用できる学事振興のための資金が、国外大学のみならず、国内大学と比較しても大きく不足しております。困難な状況の下でも、慶應義塾が世界の未来に大きく貢献し続けられるよう、皆様のご理解とご支援を何卒お願い申し上げます。

長谷山塾長から、同内容を動画でご説明させていただいております。
こちらも併せてご覧ください。

※掲載内容は2019年1月25日現在のものです。

特集一覧に戻る