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Keio University  SPECIAL SITE

DNA情報を分析し、
がんや難病の患者さん、
一人ひとりにあわせた医療を
命を救う“最後の砦”が進める医療改革

Date.2024.08.19

#医療改革

#がんゲノム

#一生涯の医療フォロー

実際に患者さんと向き合う「臨床」と、教育機関としての「研究」が一体となった大学病院として、先進的な医療に取り組む慶應義塾大学病院。患者を守る“最後の砦”である慶應義塾大学病院の“現在地”と、目指す“未来図”をご紹介します。

遺伝子解析から一人ひとりに
適したがんの治療法を
導き出すゲノム検査

慶應義塾が誇る医療拠点として、大きな役割を担う慶應義塾大学病院。初代医学部長・初代病院長として慶應医学・医療の礎を築き、2024年7月には千円札の肖像画としても採用された​​北里柴三郎博士の教えである「基礎臨床一体型医学・医療の実現」を目指し、高度な医療技術で患者さんの命を救う「最後の砦」としての役割を果たしてきました。

慶應義塾大学病院では、様々な分野で先端的な医療研究を進めています。その中でも、近年注目されている医療の一つが、がんゲノム検査です。

What’s がんゲノム検査?

慶應義塾大学病院医療センターゲノム医療ユニット 遺伝子検査でがん治療が変わる

人の細胞にあるDNAの遺伝情報(ヒトゲノム)を調べ、がんの発症に強く関連するとされる遺伝子に変化がないかどうかを調べる検査。

がん遺伝子検査についてもっと詳しく

同じ臓器のがんでも原因となる遺伝子によって効果的な治療は異なるため、どの遺伝子が原因となっているかを突き止めることが重要となります。次世代シークエンサーという解析装置を用いた「がん遺伝子パネル検査」では、一度に複数の遺伝子を調べられるため、検査時間が短縮でき、結果として早期治療開始も期待できます。保険診療でできるがん遺伝子パネル検査に加えて、当院独自のがんゲノム検査も実施しており、これまでの標準的なガイドラインに沿った治療にとどまらない、適切な治療法を模索できる可能性が高まってきたのです。

慶應義塾大学病院では、ほかにも小児の遺伝子疾患や、依存症の磁気刺激療法など、大学病院ならではの研究成果を活かし、先端的な医療が行われています。その一方で、コロナ禍を経た医療を取り巻く環境の変化は、慶應義塾大学病院の医療のあり方そのものにも変化をもたらしています。

途切れなく寄り添い、
ペイシェントジャーニーを
幅広くフォロー

アフターコロナの今、医療の形は大きく変わりつつあります。住んでいる地域を越えて大病院で治療を受けていた患者さんの多くが、コロナ禍の移動制限により、自身の地域で治療を受けるようになりました。地域医療の価値が見直され、医療需要は適正化されてきていると考えられます。

このように、社会における医療のあり方が見直される中、慶應義塾大学病院では、これまでの高度な医療技術が集約される「特定機能病院」の機能に加え、より患者さんに寄り添う医療機関として、自身が提供する医療のあり方を大きく見直そうとしています。その象徴として、途切れなくペイシェントジャーニー(患者さんが病気を認知し、医療サービスを受けるプロセス)に寄り添うことをビジョンに取り入れました。

慶應医療のビジョン:途切れなくPatient journeyに寄り添う 現状の国内医療提供体制 未病 予防医療センター機能のさらなる充実 診療・診断 慶應ネットワークを駆使した前方連携の強化 治療 予後 スムーズな回復期・リハビリ医療への移行 診療・診断〜予後 データ連携による前方・後方連携の円滑化 後病 AIホスピタル事業で培ったデータ連携後病領域での継続的フォローアップ・遠隔見守り医療の駆使

これまでは「治療」の部分に集中して取り組んできましたが、現在は予防や後病など、その他のフェーズにも取り組み、患者さん一人ひとりの医療プロセス全体に関わることを目指しています。特に、予防医療の重要性が高まっていることから、2012年に設立した予防医療センターを2023年秋に麻布台ヒルズに拡張移転しました。

What’s 慶應義塾大学
予防医療センター?

慶應義塾大学予防医療センター

予防医療センターでは「一人ひとりの人生と共に歩む医療」をコンセプトに、「健康寿命の延伸」を目指した新しい医療に取り組んでいます。大学病院ならではの医療スタッフと先端設備による卓越した診断精度の人間ドックで疾患のリスクを早期発見し、慶應義塾大学病院の専門外来にてより詳しい検査と治療を行います。

慶應義塾大学予防医療センターについてもっと詳しく

予防医療センターでは慶應義塾大学病院として初めてメンバーシップ制を導入しました。10年、20年、あるいは30年先の健康を包括的に支援する「パーソナルサポートチーム」を編成。プライマリードクターを中心に、総合窓口となるメンバーシップデスク、予防医療コーディネーター、看護師、管理栄養士などが、単に人間ドックで検査を行うだけでなく、検査結果に基づく面談や健康相談、必要な時には外来診に取り次ぐなど、対話を軸にした健康サポートを行っています。

がんやうつ病などの病気になった後の生活といった
「後病」のフェーズでも、慶應義塾大学病院は
遠隔見守り医療などによって継続的なフォローアップを行っています。
健康な時から病気をした時、そして病気の後まで、
患者さんに途切れなく寄り添うことを目指しています。

慶應義塾 常任理事 北川 雄光

そして、未来の医療への挑戦は、大学病院の“中”でも始まっています。

人とAI・ロボットの
役割分担で、研究のための
環境を整備

もう一つ、慶應義塾大学病院が医療の未来に向けて取り組んでいるのが、先端技術の導入です。塾員からの寄付を中心に2018年に大学病院1号館を開院し、2022年には10年間続いたすべての工事を終えてグランドオープン。新しい医療環境の中で、これまでの取り組みをさらに進め、AIやロボットを駆使した「AIホスピタル構想」を進めており、2018年から内閣府のAIホスピタルモデル病院にも採択されています。

慶應義塾大学病院におけるAI活用のコンセプトは、
患者さんにとって便利で快適、使いやすい病院であり、
同時に医療者が安心して働ける病院であることです。

慶應義塾 常任理事 北川 雄光

医療のすべてをAIに任せるのではなく、単純な作業をAIに置き換えることでヒューマンエラーを防ぎ、その空いた時間を医療者が研究や技術習得に充て、未来の医療を見据えて進み続ける病院を目指しています。若い医療者が現場での医療に多忙を極め、なかなか研究ができないというのは医学界の長年の課題でしたが、慶應義塾大学病院はAIを活用しながらこの課題に先導して取り組んできました。これにより、医療関係者の技術向上や研究のさらなる促進など、慶應義塾の医療のさらなる進化が期待されています。

これまで医療者が神経をすり減らして集中しながら行っていた膨大な作業のうち、AIやロボットでもできるものについては置き換えを始めています。例えば薬の誤投与は代表的な医療過誤の一つですが、ピッキングロボットで薬の種類や数量をロボットに管理させれば、ミスが劇的に減り、薬剤師の負担を軽減することもできます。

また、機械の真ん中に患者さんが立つだけでCT検査ができ、患者さんの負担を軽減する全自動CTや、1,000床近い病床の状況をコントロールするモニタリングボードなど、効率化しながら患者さんの負担も減らすAI・ロボティクス活用の取り組みは病院の各所で進められています。こうした取り組みは現在も途上ではあるものの、一定の成果を上げています。

AI Hospital

Works 1.

お薬ピッキングロボット

Works 2.

入院病床の管理を行うモニタリングボード

すべての人の一生涯の
健康を守る。
“最後の砦”はこれからも
進化を続ける

これまでも弛まず医療改革を進めてきた慶應義塾大学病院は、常に現状に満足せず、今後も優れた医療人を輩出し、医療における成果を上げ、多くの患者さんの命を救うことを目指しています。

私たちはこれまでも、患者さんの最後の砦として
難しい病気や手術をお任せいただいてきました。
これからも変わらず砦としての役割を果たしつつ、
さらに人生のすべてのフェーズをお任せいただき、
すべての人の一生涯の医療のフォローを目指したいと考えています。

慶應義塾 常任理事 北川 雄光

一生涯の医療データを連携して利活用できれば、患者さんのペイシェントジャーニーだけでなく、ライフジャーニーを支えることも可能となります。データをどのように扱うかなど課題はありますが、これらの取り組みが医学の発展に大きく寄与することも期待されます。

すべての人の一生涯の健康を守り、難病にも立ち向かっていく慶應義塾大学病院。その取り組み・挑戦をぜひ応援ください。

がんゲノム検査をはじめとした
慶應義塾大学病院の医療や取り組みに
興味を持ってくださった方へ​

慶應義塾大学病院では、
今回ご紹介したような先進的な医療を展開していくための寄付を募集しています。​
ご興味を持たれた方は、医学部・病院サイトをご覧ください。

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