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一度きりの人生、悔いのないように楽しみたいですね。

――1994年三田会 記念誌部会長 永岡 栄 君


1994年三田会では、2019年3月16日に卒業25年記念の大同窓会が行われました。その実行委員の一人である永岡栄 君は記念誌部会の責任者として、掲載写真の撮影進行から記念誌編集までを部会メンバーのみなさまと進めていらっしゃいます。
今回の大同窓会を機に1994年三田会の活動を始められたという永岡栄 君。大同窓会の記念誌編集にまつわる苦労(?)話から、SFCで過ごした塾生時代の思い出、これからの慶應義塾に期待することなどをユーモアたっぷりに語っていただきました。
そして最後に、今回の大同窓会のテーマとなった『君にとって慶應義塾とは何か?』についてズバリひと言いただいています。同期のみなさま必見です!

Q.1 卒業25年記念大同窓会は楽しめましたか?

SFCの仲間に25年ぶりに会い、感慨深かった。


実は記念誌部会の責任者として大同窓会当日は撮影ブースにいました。同窓会を参加者として楽しむというより、運営側で懸命に働いていたというのが正直なところです(笑)。
僕はSFC出身ですが、撮影の中断中は会場の真ん中に設けてもらったSFCの席にも行きました。そこでは25年ぶりに会う仲間もいて、感慨深いものがありました。実行委員の一人として、SFC出身者の参加者集めにプレッシャーを感じましたが、フタを開けてみればSFC出身者が二百何十人も参加してくれて嬉しかったですね。良い仲間がいて、良かったなと。
海外に駐在していたり、社長になっていたりと、それぞれの道を歩んでいる仲間たちですが、いざ会ったらあの当時のまんまなんですよ。顔を見ても最初は名前が出てこないけれど、名札を見て「あいつだ」と、すぐに塾生時代に戻れました。25年のブランクなんてなかったように「飲みに行こう」となるんです。
こういう機会を作ってもらって、本当にありがたいですね。

Q.2 SFCに通った塾生時代の思い出は何ですか?

徹夜明けの牛小屋のニオイ、神宮の早慶戦…全部良い思い出。


僕たちの世代は、SFCの1期生だったので先輩たちもいませんでした。だから、当時としては先駆けだった24時間キャンパスも使い放題(笑)。真面目に言えば、仲間と大学に残って朝方まで勉強したことも、しばしばありました。そうして夜が明けて朝の空気を吸いに外に出ると、家畜のニオイがふわ~っと(笑)。まわりには牛小屋があって、牧歌的な環境の中に大学がありました。
そんな環境の中で4年間切磋琢磨した仲間ですから、ものすごく同期の絆は強いですよ。この大同窓会には参加できなかったけれど、先日の卒業式の後の塾員招待会には来た人もたくさんいます。
野球の早慶戦を応援に行ったのも良い思い出の一つです。神宮球場のスタンドで観戦していると、「THE慶應」的な応援が繰り広げられ、「ああ、僕らやっぱり慶應なんだな」と思いました。三田キャンパスには入試の合格発表くらいしか行きませんでしたけど。

Q.3 記念誌部会の活動はどのようなものですか?

同期のみんなが寄付してよかったと思ってくれるような記念誌を。


活動の大半は今回の同窓会での写真撮影と、それをもとにして記念誌を編集する仕事です。それまでは連合三田会にも出ていませんでしたが、昨年1993年三田会の大同窓会のお手伝いをしたのがきっかけで、そのまま記念誌部会の責任者になってしまいました(笑)。昨年の経験から「これは大変だな」と正直思いましたが、引き受けた以上はしっかりやろうと切り替えてやっています。
例年、記念誌の制作費は写真撮影費と企業の広告で賄っていますが、今年はなるべく広告に頼らずに制作しようと目標を立て、部会のメンバーが一丸となってがんばりました。記念誌は1万円以上の寄付をしてくれた仲間に送られるので、記念誌を受け取った同期のみんなが「寄付をしてよかった」と思ってくれるような記念誌を制作することが、制作段階に入った現在の最大のプレッシャーです。
写真撮影も目標額を上回ることができ、(企業から広告を集める)企業部会に頼らずに発行できる目処が立ちました。印刷会社さんにも多大なるご協力をいただいていますが、少しでも制作費を抑えて余った資金を募金に回せたら、そんなに嬉しいことはないですね。

Q.4 寄付ができるという考え方について詳しく教えてください。

慶應義塾から受けた有形無形の恩恵を寄付として返したい。


慶應義塾には創設当初から皆が持ち寄って研究・運営資金をつくるという伝統的な文化があります。一方で僕たち卒業生は、慶應義塾から有形無形のたくさんの恩恵を受けてきています。
僕は卒業後、生命保険会社に就職し保険セールスの仕事をしてきました。若かった頃は自分の営業成績が全て自分の実力によるものと勘違いしていましたが、40代に入ってそれは色々な人たちや、慶應義塾卒業という信頼のおかげだと気付くようになりました。長年お付き合いいただいているある大企業の会長さんも、僕が慶應の後輩だからこそ目をかけ可愛がってくださっているんですね。それほど、慶應出身者のつながりは強固なんだと、最近すごく思います。
若い頃はこんな考えには及ばなかったのですが、僕たちの同期は40代後半になり、それぞれにしかるべき地位を確立している年代です。やっと今、お世話になった慶應義塾に寄付ができるようになった。寄付ができるというのは、後輩を思いやり、慶應義塾に恩を返していく、やっとそのステージに達することができた証ですから。そのとき、寄付という制度があることを嬉しく思います。
今回、募金部会のお手伝いの一環で、経営者や高所得の同級生に大口の募金をお願いして回りました。そこで感じたのが、みんな本当に慶應への恩を感じているということです。少し話しただけで「わかった。協力させてもらうよ」と二つ返事で50万円を振り込んでくれた海外在住の仲間もいました。慶應のおかげで今の自分がある、と多かれ少なかれ感じているからだと思いますね。

Q.5 塾生へのメッセージ

慶應ブランドは間違いなくみなさんの武器になる。


とにかく、稼げる人になってほしいですね。僕は学生時代にオートバイのレースをやっていました。事故に巻き込まれて重傷を負い、レース活動を断念したのですが、そのとき死ななかったのには何か理由があり、生かされているんだと考えるようになりました。以来「人生は一度しかない」それなら残りの人生、やりたいことをしっかりやろう、自由に生きよう、と思ったんです。
やりたいことを実現したり、行きたいところに行ったりするには、時間もお金も必要になる。夢を諦めずに実現するためにも、稼ぐ力は必要になってきます。僕も慶應というブランドをまとって社会に出たおかげで、就職先の先輩たちに色々と教わり、自分で稼いでいく力を付けられました。
慶應卒というのは、社会に出た瞬間からある意味、エリートなんです。それで稼いで稼いで、自分の夢を実現して、25年経った頃にガツンと慶應義塾に寄付ができるようになってほしいですね。慶應ブランドは間違いなくみなさんの武器になります。

Q.6 これからの慶應義塾に期待すること

満足度ランキング世界第1位であり続けてほしい。


今回僕が思ったのは、慶應義塾は縦と横を結び付ける仕組みづくりが上手だということ。僕はゴルフをやりますが、普通なら関わることのできないような大企業の社長さんともゴルフを一緒に回ることができます。それが慶應ブランドの効力だと思いますね。
もし、卒業生の満足度ランキングがあったら、個人的には間違いなく世界で第1位だと思います。それくらい卒業生の満足度は高いと確信しています。だからみんな、自発的に寄付をするんでしょうね。いつまでもOB・OGである塾員を満足させ続けてくれる学校であってほしい。それが慶應義塾に期待することです。

Q.7 現在のお仕事を含めた活動を教えてください。

人のためになるお金の使い方をしたい。


僕は現在のメットライフ生命保険、当時のアリコジャパンに入社しました。そこで保険のセールスをやり、その代理店として独立。現在では様々な保険会社の商品を法人のお客さまにご案内しています。
学生時代にはオートバイのレースをやっていて、大学卒業後もそのままプロレーサーとして生きていこうと思っていました。しかし大怪我をしてその夢を断念せざるを得ず、違う世界のプロになろうと決意し、保険のプロになったんです。
本業を突き詰めるのはもちろんですが、僕が成し得なかったプロレーサーとしての成功をめざす有望な若いレーサーを支援することが、今の僕の仕事をするモチベーションになっています。そんな矢先に記念誌部会の活動を通じた寄付金集めに携わることができ、僕を育ててくれた慶應義塾にも恩をしっかり返そうという気持ちを持つようになりました。人のためになるお金の使い方をする。そういう意味では、慶應義塾への寄付もレーサーへのスポンサーシップも同じだと思います。

Q.8 『君にとって慶應義塾とは何か?』を教えてください。

大同窓会をきっかけに仲間と会う機会が増えた。


僕にとっての慶應義塾……それは「仲間」です。卒業以来、遠ざかっていた慶應義塾に僕を呼んでくれたのも当時の仲間。「お前に会いたいやつがたくさんいるから来いよ」と誘ってくれました。こうして記念誌部会という重労働(笑)を引き受けたのも、仲間のために何かやりたいという気持ちが強かったから。今回の大同窓会をきっかけに、仲間と会う機会が増えました。それは、週3回も飲んでいるほど(笑)。この仲間たちと一緒に25年先までしっかりと生きて、卒業50年をみんなで元気に迎えられたら、こんなに素晴らしいことはありません。

※掲載内容は2019年4月10日現在のものです。

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