維持会奨学生VOICE
2023年度維持会懇話会に参加された維持会奨学生を代表して、7名の奨学生の声をお届けします。
彼らの熱意と努力、そして未来への展望に迫ります。
①維持会奨学生として思うことは?
②一番興味のある授業は?
③今後、学生生活でチャレンジしたいことは?
④卒業後の進路、将来の夢は?
秋田県出身 経済学部2年
①維持会奨学生に選んでいただき、今は感謝の気持ちしかありません。もともと1年生の時は、学費が払うことも困難で、常にギリギリの中で生活していました。1日1食の日もあり、友人とご飯に行くようなことも自由にできない生活が続いていました。その中でなんとかお金を集めて学費を払ったので、2年分の学費を払いきれるかどうかという問題に直面しました。今回、維持会奨学金に採用していただき、無事に2年分の学費も払える見通しがたち、本当に感謝しています。維持会の会員様の期待を裏切らないように、勉学に努め、また、私自身も将来的には、修学が困難な学生に向けて支援をしていけるような人物になれるように勤めていきたいと思います。
②現在、一番興味を持って取り組んでいる授業は、語学です。慶應義塾大学は、語学の授業がとても魅力的だと感じています。福沢諭吉先生は慶應義塾を創設する際に、実用的な外国語を学ぶということも視野に入れていました。その考えが私自身に非常にマッチしていたと感じています。現在、英語、スペイン語を学んでいますが、英語に関しては、大学入学まではあまり磨いてこなかったスピーキング能力やリスニング能力をプレゼンを通して学ぶことができています。スペイン語に関しては、大学に入学してから勉強し始めたのですが、英語の文法と似かよるところや、スペインの食文化自体に興味があったため勉強を続けられています。今後は資格試験についても視野に入れ、自分の語学能力を向上させていきたいです。
③今後の学生生活でチャレンジしたいことが大きく2つあります。1つは、大学2年生のうちに長期のインターンに挑戦したいと考えています。4月あたりから社会に出たときに、成果を残し、周りの人からいいところを吸収できるような人になるために、インターン先を探しています。現在も企業の方に応募しており、社会に出て1年目から活躍できるようにスキルを身につけていきたいと考えています。2つめは、オンラインでの塾の経営です。まだ、私自身勉強が不十分で具体的な方針などがたってはいないのですが、夏休みを通して、自分でオンラインの塾を経営してみたいと考えています。現在は、生徒をどう集めるか、教材をどうするかを考えています。
④将来的な夢は2つあります。1つは、コンサルタントとして働くことです。私自身、教育にも関心を持っており、そのため、現在はコンサル業界を志望しています。チャレンジしたいことでもあげたように、長期のインターンをすることに挑戦したいと考えています。コンサルタント自体が、営業の延長線上にあると考えているので、営業の長期インターンを通して、ヒアリング力を身につけていき、コンサルタントとして働く夢を実現したいです。2つめは、地方向けのオンラインの塾を経営することです。私自身、秋田県出身で、地元には、塾、予備校などがなく、いざ慶應義塾を目指すとなったとき、勉強をどうやって進めればいいのかと悩んだ経験があります。SNSが普及してきた今だからこそ、地方の子どもにも、勉強方法をオンラインで指導できると考えています、私と同じような経験をするこどもを少しでも減らしたいと思い、オンラインでの塾の経営をすることが私の夢の1つになっています。
神奈川県出身 総合政策学部4年
①現在、私は、自身の興味分野である都市部の農業に関して、実際に農地を訪れ、フィールドワークの分析を重ねながら、研究に励んでいます。このような充実した学生生活が送れているのは慶應義塾維持会奨学金のご支援を頂いたからであり、学業に集中して取り組める環境をつくってくださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。私はこの奨学金を頂き、私自身の成長だけでなく、社会全体に対しても、貢献できるよう尽力し、ご支援を頂いたことに恥じぬよう、自分の将来のビジョン達成に向け、学業に励み、多くの学びや発見が出来るよう努力致します。
②今学期受講している、環境情報学部一ノ瀬友博教授の「都市と環境」です。この授業は、環境の視点から都市と人の関係を考え、人類の歴史と共に形作られてきた都市や都市の緑地の機能に関して学ぶ授業です。座学だけでなく、履修者が全員で日比谷公園に訪れ、開園当初からある意匠と、開園後につくられたものを比較するフィールドワークを行いました。私自身、屋上菜園の場のデザインに取り組んでいることもあり、日本や世界の庭園の歴史や現在公園や緑地に求められている機能に関して知ることができるため、非常に有意義な学びを得ています。
③私は、農業に関心があり、都市部で農業や生産地とつながる方法や、多様な人々の居場所となる農園のデザインを試みたいと考えています。今年度から実際に都市部の屋上農園をフィールドに、単に栽培をするだけでなく、憩いの場となるような菜園のあり方を考え、実践していく予定です。現在、ランドスケープデザインを専攻する研究会に所属しており、屋上農園のデザインに活かすべく、日々場のデザインや、私たちが見ている風景について多くの知見を得ています。また、この屋上農園での実践を、自身のプロジェクトとして研究する予定であり、食や農を通じた新たな交流の場をデザイン出来ればと考えています。
④学部卒業後は、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究への進学を希望しており、引き続き、都市部での食や農を通じた新たな交流の場でのデザインに取り組みたいと考えています。そのため、昨年1年間徳島県神山町の農業法人「フードハブ・プロジェクト」にて農業を実際に学びました。また、将来は、不登校や引きこもりになってしまった人をはじめとする、様々な人々の主体的な行動を促進できるコミュニティガーデンとなる、屋上農園や都市部の農園をつくりたいと考えています。多様な人々の受け皿となり得る、農の可能性を、学部や大学院で研究し、そこで得た実践的な学びを活かして、上記のようなコミュニティを創造できればと思います。
新潟県出身 理工学部4年
①多額の奨学金をくださる維持会の皆様に感謝の気持ちを送りたいです。私は昨年、維持会奨学生ではなかったため、自分の生活費の大部分をアルバイト代から捻出していました。そのためアルバイトに多くの時間を使うことになり、勉学に励む時間が短くなり、歯がゆい思いをすることとなってしまいました。昨年の経験から、奨学金をいただくことは、学生として過ごす貴重な時間をいただいていることと同義であると実感しています。奨学金を通じて、貴重な時間を提供してくださっている維持会の皆様に多大なる感謝をしつつ、いつかいただいたものを還元できるように勉学に励みたいです。
②今一番興味がある授業は、自分の所属する研究室の指導教員でもある久保教授の「電力システム制御」です。自分は現在システム制御に関する研究を行っています。システム制御は社会のシステム全般を分析対象にする学問ですが、その応用先の一つが電力分野です。この授業では発電機の仕組みの基礎知識に初め、それらが日本全体の電力網においてどのように制御されているのかを学ぶことができます。日々の生活で必須なインフラである電力がどのように供給され、どのように需要変動に対応するのかを学ぶことは、社会の仕組みを理解するという面でとても興味深いと感じています。
③勉学と並行して、今後社会に出る際に必要となる力を身に着けたいとも考えています。具体的には、今自分に足りない力としてリーダーシップがあると考えています。自分は先頭に立って何かをすることはあまり得意でなく、今までの人生でもリーダーのような役職を避けてきた自覚があります。しかし社会は基本的に組織で運営されているため、組織がどのように統率されているのかは学んでおくべき事項だと考えます。学生のうちからリーダーとして組織を導く経験を積むことで、今後何らかの組織に配属された際も、自分が組織のなかでどの力を発揮するべきなのかを、リーダーの目線から考えることができる力を養いたいです。
④将来は学んだ専門知識を生かして、価値あるシステムの構築やマネジメントを行うことができるエンジニアになりたいです。。私が専門的に学んでいるシステム制御や通信の知識だけでなく、AIなどの最新技術の知識を駆使して、日々の生活がより豊かになるシステムの開発に携わること、また将来的には大規模なシステムの構築をマネージャーとして管理する立場につきたいとも考えています。そのためには、今から自分の専門分野の研究を進めるだけでなく、最新技術の知識を自主的に身に着けることや、マネジメントの経験を積むことを通じて、あらゆる方面の力を身に着けようと考えています。
長野県出身 文学部4年
①維持会の皆さんのお陰で、慶應で学べていることにとても感謝しております。維持会奨学金は私のような地方出身者が勉学の継続を選択できる、とても素晴らしい制度だと思います。周りの友人たちを見ても地方出身者の割合が少ないと感じ、その理由としては一人暮らしの負担が挙げられると思います。中には実家からの距離や経済的な理由から慶應での勉学を諦める人もいるかもしれません。しかし、慶應でないとできないことが確実にあります。望んだ環境で勉学に励む権利を誰もが平等に受けられるように、このような制度がもっと増えればいいと思っています。
②ゼミ以外で挙げるとすると、今年から始まった「イメージ学」の授業がとても面白いです。「イメージ学」は美術史の系譜から生まれた学際的な学問で、大学の講義で扱うのは日本初だそうです。講師は最近までドイツで研究をされていた坂本泰宏先生で、講義では様々な領域のイメージや知覚研究を通して「みる」とは何か考えていきます。文献研究が主の美術史が網羅できない部分をイメージの知覚から迫っていく点が本当に興味深いです。私自身が音楽や芸術など幅広い対象に興味があり、共通するイメージや美について学んでみたいと切望していたので、今年になってやっと願いが叶った思いです。慶應は日本の中でも比較的美学を学べる環境にあると聞いていましたが、改めてそのことを実感しました。
③沢山あります。卒業論文を充実させることはもちろんですが、学生生活もあと少しなので、その他思いついたことは端から行うようにしています。現在考えていることとしては、広告のコピーライティングを始め、様々なコンテストに応募することです。また、絵を描くことが好きなのでイラストのグッズを作って通販サイトも開設しようと思っています。そして何より、自身が所属するバンドで初めてワンマンライブを行うので、成功に向けて念入りに準備をしていこうと思います。悔いが残らないように、やりたいことにどんどんチャレンジしていきたいです。
④就活を終え、広告会社のコピーライターになることが決まりました。私の夢は、「美とは何か」を考え続け、制作物として体現することです。コピーライターはコピーを書くことを通して、宣伝と同時にクライアントの思考や美意識を社会に伝えていきます。現代社会において、「美」に関する議論の必要性は一層増しており、AIの登場も相まって「何を美とするか」という決定的な基準は無くなってきています。「美とは何か」を考えることは、「人間とは何か」を考えることに繋がるということを、ようやく実感しています。そんな「美」の価値観が揺らぐ激動の時代の中にこそ美学が必要です。美学美術史学専攻出身者として、「美」について問い続けるコピーライターになりたいと思っています。
岐阜県出身 商学部4年
①私は大学2年生の時から3年間、維持会の奨学生に選んでいただいております。奨学生として選んでいただく度に、維持会奨学生として選ばれた学生であるということに対して、私はこれまで自身が歩んできた大学生活を誇らしく感じると同時に、これから奨学生として恥ずかしくない学生生活を送る必要があると実感しております。金銭面で支援していただいている以上、奨学金によって得ることのできた時間を浪費することは言語道断です。大学入学以前から力を入れてきた語学学習やゼミでの学びに費やすなど、慶應義塾大学の1人の学生としてのみならず、維持会奨学生としても誇ることのできる学生生活を送りたいと考えております。
②現在、一番興味を持って取り組んでいるのはゼミ活動です。ゼミの専攻科目である国際経済学を学ぶことはもちろん、最近は計量経済学を用いた卒業論文の執筆に向けて準備を始めています。国際経済学に関しては、世界的に有名な英語の教科書を使って、学習しています。語学学習が好きな私にとって、英語の教科書を読んで理解し、その内容をゼミで英語を用いて議論するというのは大変楽しく、非常に意義のある活動になっております。また、卒業論文の準備にあたっては、先行研究を読み、今後の自身の研究方針を考えるということをしております。第一線の研究者の研究内容を理解し、そこから自分はどういった研究ができるのかを考えることは非常に難しいですが、知的好奇心がくすぐられるものであり、楽しんでおります。
③私が今後の学生生活で力を入れたいことは語学学習です。語学力は社会人になってからも私の大きな武器となり、私の活躍の幅を広げてくれると考え、私は大学入学後、英語とスペイン語の学習に力を入れてまいりました。私は今年の夏休みに予定しているイギリスへの短期留学で、これまで磨いてきた語学力を存分に発揮したいと考えております。現地では、多様なバックグラウンドを持つ学生と交流します。コミュニケーションがうまく取れず、苦労することも多々あるかと思いますが、諦めずに食らいついていきたいです。そして、これまで培ってきた語学力を駆使し、世界各国の学生と必死に議論し、切磋琢磨することで、さらに自分自身を成長させたいと考えております。
④卒業後は外資系コンサルティングファームに就職いたします。コンサルタントとは「企業の医者」と表現されるように、課題を抱えて困っているクライアントに対して、解決策を提示し、クライアントのさらなる飛躍を支援する仕事です。「社会にとってなくてはならない仕事がしたい」と考えていた私にとって、自己実現をすることのできる仕事なのではないかと考えております。入社後は論理的思考力や課題発見力といったコンサルタントに求められる能力を養い、早く1人前のコンサルタントになりたいです。そして、コンサルタントとして日本企業の成長を下支えし、日本の経済成長に大きく貢献したいと考えております。
愛知県出身 法学部1年
①私の家庭は母子家庭であり、家計が大変な状況である中で、慶應義塾維持会の皆様にご支援していただけることに感謝しています。地方出身で一人暮らしをしている私にとっては、新しい環境に慣れることはもちろん、日々の生活をすべて自分でやりくりするのは大変なことです。アルバイトもしていますが、アルバイトだけで十分な収入を得ることはできません。そのような状況の中、維持会奨学金をいただくことで、学業やサークル活動など、大学生にしかできないことをたくさん経験できることに喜びを感じています。これからは、維持会奨学生であるという自覚を持ち、充実した大学生活を送りたいです。
②4月に大学の授業が始まったばかりで、どの授業もとても興味深いのですが、今一番面白いと思う授業は民法です。小学生の頃からずっと学びたいと思っていた法律の授業はやはり面白く、特に民法の授業は身近な事例を考えながら勉強するので「なるほど」と思うことがたくさんあります。また、法律を読み解くことの面白さを感じ、法律が私たちの生活にとても身近な存在であることを実感しています。これから、様々な種類の法を学びます。その法律が存在する意義とは何か、どのような役割を果たしているのかを考えながら、リーガルマインドを身につけていきたいです。
③今後の大学生活でチャレンジしたいことは、今しかできないことに積極的に取り組むことです。その一つが、学業です。授業を聞いて終わりではなく、その内容をどこまで自分の知識とすることができるかが重要なため、法律を自分の知識として身につけられるように積極的に勉強に取り組みたいです。また、法律だけでなく語学力を磨くための勉強や資格取得に向けた勉強にも力を入れていきたいと思っています。今しかできないこととしては、サークル活動や長期インターンも挙げられます。こういった活動に主体的に参加していきたいです。
④私の将来の夢は、法曹家です。法曹三者のうち、どの職業に就きたいかはまだ決めていません。これまでは、弁護士になりたいと思っていましたが、法学部の法務演習の授業で、弁護士・裁判官・検察官のお話を聞き、社会の中での法律との多様な関わり方を知るうちに、弁護士という職業にとらわれず他の職業にも目を向けてみようと思いました。しかし、法律に携わり、人を助けられる職業に就きたいという気持ちは変わりません。これから、自分の将来について考える機会がさらに多くあると思います。その度に、自分と向き合い、自分にはどのような法律との関わり方が合っているのかを考えていきたいです。
山口県出身 薬学部1年
①この度は、慶應義塾維持会奨学生に採用していただき、誠にありがとうございます。家族一同、心より感謝申し上げます。小学2年生の時からの夢であった薬学部に入学し、伝統ある慶應義塾大学で優れたカリキュラムのもと薬学を学ばせていただけることに、この上ない喜びと充実を感じています。医療系三学部合同教育や病院・薬局見学など、慶應義塾大学薬学部でしか得ることのできない経験はとても刺激的で、夢への想いをより強くしているように感じます。新たな発見や学びのある環境で日々学業に専念することができるのは、維持会の皆様からのご支援があってのことです。本当に感謝の念に堪えません。維持会の皆様のご厚意、そして慶應義塾の名に恥じぬよう今後とも一層の邁進をしてゆく所存であります。
②現在、講義を受けている授業の中では、心理学が最も興味深い授業です。知覚・認知やパーソナリティの面から、人間や動物のこころを理解し、予測することを学んでいます。これらは、個々の豊かな生活を保障し、過ごしやすい社会を形成することにも繋がっており、患者さんとのコミュニケーションにおいて活かせる部分は大きいと感じています。心理学を学び、自分以外の人について知ろうとすることは、自分を客観的にとらえることにも通じていると実感しています。また、2年次以降はより専門的に薬学を学ばせていただくことができ、既に講義や実験をとても楽しみにしています。特に、臨床薬学や免疫学、漢方の分野は、処方の選択肢を増やすことにも繋がると思い、より詳しく学んでいきたいと思っています。
③ガンやアレルギーなどの治療法が確立していない疾患の治療に応用できる研究をしたいと考えています。将来はチーム医療に携わることを目標としている私にとって、処方の選択肢が増えることは、患者さんに最善の医療を提供することにも繋がると考えております。また、慶應義塾大学薬学部は海外とも密接に連携しており、海外の学生と交流しながら広い視野で最先端の医療・薬学について学びたいと考えています。これまで海外の方と密に交流をしたことがない私にとって、大きな挑戦になるのではないかと思います。医療においては、常に最新の情報を更新し続ける必要があり、幅広い視野で学び続ける姿勢が重要です。挑戦をするためにも、まずは英語力を向上させ、土台となる知識とコミュニケーション能力を培いたいと思います。
④私には、小学2年生の時から変わらない夢があります。それは、「薬剤師になる」ということです。薬剤師という職業を知ったきっかけは、現役の薬学研究者として、海外でも働く叔父の存在です。幼少期は漠然と抱いていた夢も、徐々に具体的な目標へと変化し、現在は病院薬剤師としてチーム医療に携わりたいと考えています。夢が目標に変化する過程で、私自身が手術と入院を経験したことは大きな影響を与えてくれました。入院した時に出会った病院薬剤師の方が、日常会話を通して薬の有効性や副作用を確認し、患者さんに寄り添う姿はとても印象的でした。医療現場を目にする機会が多かったからこそ、臨床という現場でお世話になった場所に恩返しをしたいと考えています。