インタビュー:黒田 毬賀 君/維持会寄付者 

社会人になったからこそ私にできることがある。
そんな思いで維持会に寄付をしました。
――金融関連 法人営業 黒田 毬賀 君

社会人1年目の7月頃に送られてきた慶應義塾維持会の案内レターを見て、「微力ながら寄付ができたら」という思いで維持会を支援することを決めた黒田毬賀君。寄付というアクションを起こしたきっかけや維持会奨学金を受給する塾生に対する想いなどを、オンラインによるインタビューで語ってもらいました。

 

地方出身だからわかる地方出身者の不安


慶應義塾基金室(以下K):維持会奨学金へのご寄付、ありがとうございます。貴重なご支援ですので有意義に活用させていただきます。

黒田毬賀 君(以下M):ありがとうございます。

K:慶應義塾維持会が行っている活動は知っていましたか?

M:塾生時代から維持会の存在は知っていましたが、どのような活動をしているのか具体的には知りませんでした。友人との会話の中で維持会の話題が上がることもなかったですね。

K:それでは維持会について簡単に説明いたします。維持会は社中で義塾を支えていきたいという思いのもとで明治期に発足し、今日まで義塾の維持・発展に貢献してきた組織です。多くの塾員のみなさんが会員となり、厚志により義塾を支えています。主な活動に維持会奨学金があり、経済的な理由で勉学をあきらめる塾生が出ないよう、奨学金の支給を通じて主に地方出身の塾生の修学環境を整える支援を行っています。

K:このような維持会の制度を黒田さんはどう思いますか?

M:地方出身の学生は親元を離れて一人暮らしをしている方がほとんどだと思いますが、首都圏在住の方に比べて特に経済的余裕がないというのが現状にあると思います。そんな地方出身者の経済的な負担を、少しでも軽くするような支援体制が整っているのは、義塾に安心して入学できるポイントであると思います。社会人になってから、私のもとに届いた維持会のニューズレターの活動内容を見て、研究などの様々な支援をも行っていることを改めて知りました。幅広く義塾を支える取り組みをされているのは素晴らしいことだと思っています。

K:維持会にご寄付をいただいたきっかけを教えてください。

M:社会人1年目の7月頃のことです。維持会から案内レターをいただき、寄付の使い道を具体的に知ってから、私も微力ながら寄付ができたらと思いました。私も地方出身なので、地方から出て一人暮らしをする不安に共感します。そのような塾生の不安を軽くすることができたらいいなと思い寄付をしました。

K:どのような不安があったのでしょうか?

M:親と一緒に住んでいない不安もあったのですが、あたりまえに親と暮らしていた生活の中ではあまりにも多くのことを見逃していたのだと感じたのです。一人暮らしをして、たとえばハンドソープやトイレットペーパーなどの日用品を買うのにもお金がかかるという事実にあらためて気づきました。そして掃除や洗濯、食事の支度をすると、それらに割く時間が必要になり、アルバイトをする時間も少なくなります。これまで意識していなかった色々なことに気を配らなければならなくなりました。地方から出てきて知り合いが少ない環境にあって、一人で身の回りのことをしながら勉強するのは、いたるところに頭をフル回転させて行動しなければならなく、心身のエネルギーも、時間もお金も使うものだと実感したのです。全力で学生生活楽しみたいけど、意外と時間が足りないという葛藤の中に、一人で充分やっていけるかという不安がありましたね。そんな中でも私は色々な人に支えていただきながら楽しく大学生活を送ることができました。だから、「社会人になったからこそ私にできることがあるのではないか」。そう思ったのが維持会に寄付をしたきっかけです。

 

嵐の櫻井君や多くの先輩方にあこがれて慶應義塾へ


K:社会人1年目で寄付をするにはハードルも高かったのでは?

M:実は地方出身者のために何かできないかと大学時代から考えていたんです。私には慶應義塾大学を目指している妹がいます。大学進学を考えるとき、慶應義塾の情報が地方では圧倒的に少ないと感じていました。そこで、姉として妹のためにできることはないかと考えていた頃、維持会に寄付をすると、三田評論を毎月いただくことができるということを知りました。私が読み終わった後で三田評論を妹に送ってあげることができます。維持会に寄付のお手伝いができて、さらに妹にも慶應義塾の情報提供ができるのであれば、非常に価値のあるお金の使い方ではないかと考えたのです。社会人になったばかりで経済的な余裕はなかったのですが、「1万円が何倍の価値にもなる」と思い、寄付というアクションに踏み切ることができました。

K:寄付をしようと思った原動力は何だったのですか?

M:私の生い立ちをさかのぼれば、ずっと慶應義塾に支えられてきました。小学生の頃は「嵐」の櫻井君が大好きでした。地方にいることが窮屈だった時期があり、そんな日々でも嵐に元気をもらって前向きに生きていくことができたんです。櫻井君を通して慶應の存在を知り、憧れるようになりました。中学生の頃には、英語塾の先生の慶應義塾出身のご主人から慶應義塾の話を聞き、慶應義塾と関連づけて自分の将来をより具体的にイメージするようになりました。慶應は縦横の繋がりが強く魅力がある大学だと仰っているのを何度も聞き、「慶應って、大学の4年間だけでなく、卒業した後もずっと続いていくものなんだな」と思いました。高校では慶應義塾に進学した先輩から情報をもらい、入試に臨むにあたってとても参考にしていました。思い起こせば、小学生の頃から高校卒業まで塾員・塾生の方々に支えてもらい、地方から慶應義塾に入るんだという目標を強く持つことができたのでした。その恩返しをずっとしたくて、こうして社会人になり、学生時代より少し経済的なゆとりができたとき、一歩踏み込めたのです。

K:維持会奨学金を受給する塾生への想いを聞かせてください。

M:奨学金を受給しているからと罪悪感を抱かないでいただきたいですね。たとえ無駄だと思えるお金の使い方をしてもいい。大学生は自分の意思でお金を使うことは初めてだと思うので、お金を使うことを経験する中で使い方を学んでいけばいいのです。罪悪感など抱かずに自分の使いたいところに使って、大学生活を有意義にしていただけたらいいなと思いますね。

K:維持会に期待することはありますか?

M:慶應義塾は司法試験や公認会計士試験の合格者数が何十年もトップですよね。試験合格を目指してダブルスクールする人も多いと思うのですが、奨学金の枠内でダブルスクールを支援してもいいのでは。そうすれば、資格取得に挑戦する人が増えるでしょうし、今後も合格者数を増やせるのではないでしょうか。このような要望が通るのであれば、さらに素敵だなと思います。

 

私の生活に根差した、なくてはならない存在


K:塾生生活の中で一番思い出に残っている出来事は?

M:今振り返っても大学在学中は毎日が刺激的でパワフルで楽しい思い出です。あえてひとつに絞るのであれば、ゼミ活動が一番の思い出ですね。私は近代日本政治史の玉井 清ゼミに所属していたのですが、このゼミで勉学に励み、今でも続いている交友関係を築きました。大学3年の秋から、ひとつのテーマに絞って本格的に論文集を作成します。国立国会図書館に寄贈したり、海外の大学に置かせていただいたりする、非常に意義のある成果物になるものです。ゼミ生一人ひとりが責任とやりがいを感じながら、協力してひとつのものを作り上げていく経験は貴重なものでした。合宿を何度もやりましたし、毎週毎週、与えられた課題をクリアするためにメディアの地下4階にこもって、多くの文献を見て研究しました。ゼミに割いた時間はとても長かったし、その分密度の濃い日々を過ごせました。ゼミ生の縦と横のつながりは深く、今でも近況を報告し合っています。

K:黒田さんにとって、慶應義塾はどんな存在ですか?

M:大学時代も今も慶應義塾に支えてもらっているので、ひとことで言い表すなら「なくてはならない存在」です。私の慶應生活は、高校生の頃から始まりました。入試合格後、SNSで「春から慶應」というハッシュタグで知り合った仲間と入学前から情報共有をし、大学に入ってからはOB・OGの方、アルバイト先の方など多くの塾員の方々と知り合い、良くしていただきました。社会人になってからも、慶應義塾出身というだけで信用を付与されたように取引先の塾員の方々にご愛顧いただいています。その根底には、「同じ慶應義塾出身だから支え合っていく」という考えがあると思えてなりません。私も現在の塾生、あるいは社会人になったばかりの人たちの力になれたら、自分自身のよろこびにつながると感じています。現在に至るまでずっと慶應義塾が私の生活に根差していて、慶應義塾は私のアイデンティティが形成された場所。だからこそ「なくてはならない存在」です。これからもお世話になります。

 

維持会を通して、みんなで義塾を支えていきたい


K:最後に塾員のみなさんへメッセージをお願いします。

M:私もそうですが、塾員のみなさんは日常で慶應義塾を意識する機会が多々あると思います。楽しかった塾生時代の思い出は今でも忘れられません。私だけでなく、みなさんの良い思い出として残っていると思うのです。……こんな話をすると、なんだか泣けてきました……すみません。
これまで支えてもらってきたことに対し、大人になった今だからこそ恩返しができるのではないでしょうか。塵も積もれば山となる。金額は少なくてもいいと思います。「みんなで義塾を支えていこう」というのが維持会の目的なので、寄付金額の多少にかかわらず胸を張っていいと思います。
私も頼れるところは人に頼って、自分に出来ることでは誰かの力になりたい。可能なところからアクションを起こすことが大切だと思います。維持会を通してみんなで義塾を支えていけたら、日本でも世界でも、もっと素晴らしい大学になるはずです。みんなで慶應義塾を支えていきましょう。

慶應義塾維持会に関する詳細情報はこちら
https://kikin.keio.ac.jp/ijikai/

※掲載内容は2021年9月25日現在のものです。

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