塾員バトン・インタビュー:山田 章仁 君/ラグビー日本代表/NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

勝負したなら失敗しても成功。
仲間がいるから挑戦できる。
――ラグビー日本代表/NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 山田 章仁 君

塾生時代から「グローバルな舞台で活躍する人間になる」ことを目標に総合政策学部で学びながら、オーストラリアへのラグビー留学や日本代表の活動に挑戦してきた山田 章仁君。慶應義塾大学在学中の思い出や卒業後の数々の挑戦を語ってもらいました。

Q. 塾生時代で印象深い思い出は何ですか?

A. 自分が一番自信の持てるものを見つけたこと。


英語とラグビーが好きだったので、その両方を磨くならイギリスかなと思っていました。その頃から「グローバルな舞台で活躍できる人間になりたい」というのが僕の人生のテーマでした。そのときは結局海外へ踏み出せず、いろいろな国の留学生が同じキャンパスで学ぶ慶應義塾大学総合政策学部に入学するのですが、SFCの4年間で英語をはじめ勉学に励み、ラグビーにも打ち込み、交友関係も広がりました。大学時代に出会った仲間は僕の宝物ですね。

キャンパスで学び、仲間と遊びながら、「自分に自信が持てるものは何か」を探していました。例えるなら、腰に刀を差すように一つ一つ自分の武器を探して旅をしていたような感覚です。そして、「彼らに負けないものは何か」を考えた時、腰にたくさん差してきた刀のうち自分が一番自信のある刀、世界に通用しそうな刀がラグビーであると確信しました。このことが全国から集まった優秀なメンバーが130名所属する慶應義塾體育會蹴球部(以下、ラグビー部)に入部し、海外に行ってラグビーという武器をさらに磨くことを決心するきっかけにもなりました。
1年生の終わりから2年生の間、オーストラリアへラグビー留学した頃から自分のラグビー人生を意識し始めるのですが、「自分は出遅れているな」と強く感じました。現地で出会った人たちはみんな自立していて、目標を見据えて努力を重ねていたのです。慶應義塾大学へ戻ってきた3年生以降は、伝統のタイガージャージの価値を少しでも上げたいという思いで努力しました。ラグビー部の仲間と一緒にシェアハウスで生活し、慶應ブランドを背負ってプレーしたのは印象深い思い出ですね。

Q. 大学卒業後の挑戦を聞かせてください。

A. 次のステージでどうなりたいかにフォーカスして努力する。


誰しも大人になるとまわりとのバランスを考え、自分のやりたいことへの一歩を踏み出せないことが多くなります。居心地がいいとそこから抜け出せず、みんなと同じ行動をしがちになる。そんなとき、僕は一人になる勇気を持つことが大切だと思います。自分自身の目標をしっかりと見据え、それに向かって努力し続ける。自分がやりたいことは、何としてもやることが僕の中での挑戦です。パナソニック・ワイルドナイツとプロ契約したことも、仏リヨンや米シアトル・シーウルブズでプレーしたことはもちろん、ラグビーをやりながらアメリカンフットボールをやったことも大きな挑戦でした。いろいろな人にいろいろなことを言われましたが、「僕のキャリアの中でやりたいことをやる」ということを貫きました。当時は土曜日にアメフトの試合に出場し、日曜日にラグビーの試合に出場することもありました。これは27歳のとき、15人制ラグビー日本代表に選ばれて忙しくなるまで続けました。
強く印象に残っている言葉として、2015年W杯の日本代表ヘッドコーチだったエディ・ジョーンズさんに言われた「おまえはW杯に出たいのか、W杯で活躍したいのか、どっちだ?」があります。選ぶ内容によって、進む方向がぜんぜん違ってくると教えてもらいました。W杯の舞台が日本代表チームにとって財産になったのは間違いありません。開幕戦の南アフリカ戦での勝利は世界にインパクトを残す試合になりました。僕も選手としてチームに貢献したいという思いでプレーし、サモア戦ではトライを挙げることができました。トライした瞬間は、ほっとしたというのが正直な気持ちです。最終的には僕がボールを持って敵陣に飛び込みましたが、仲間の思いがこもった大切なボールをチームのみんなでつないだトライだと思っています。

守りに入らず勝負できるときは勝負したいと思っていたので、あそこで勝負できた自分を褒めてあげたいですね。W杯までのプロセスを通して、「次のステージでどうなりたいかにフォーカスして努力することの大切さ」を学びました。自分がどう活躍したいかを鮮明にイメージしてプロセスを重ねることで、充実した毎日が送れるようになります。

Q. 慶應義塾の小泉基金による支援をどう思いますか?

A. 卒業生として母校のために貢献していきたい。


大学卒業後、体育会の活動を含む慶應義塾のさまざまな教育活動が、体育会とも縁の深い小泉 信三先生の名前を冠した小泉基金によって支えられていることを知りました。
小泉基金による現役の学生への支援は素晴らしい取り組みですね。慶應義塾は多様で優秀な学生が集まる学び舎です。体育会で活動している人たちはもちろんですが、そうでない人たちもお互いが切磋琢磨できる環境が整っていると思います。卒業生が当時の自分の姿と照らし合わせ、これまで学び、生きてきた知恵と力を、寄付などを通じて還元していくことは非常に大切なことではないでしょうか。僕も卒業生として母校のために貢献していきたい気持ちでいっぱいです。
僕たち関係者の支援によって慶應義塾出身者が国際的に活躍できる力が育つと思います。いまや働く場所が海外であることは、特別なことではありません。優秀な皆さんのスキルを発揮できる場所は世界中にあるはずなので、自信をもって海外でも自分を表現してほしいですね。

Q. 現在の慶應義塾との関わりを聞かせてください。

A. 人生を共にし、人生を教えてくれる仲間ができた。


慶應義塾大学に入学して、OBの方や後輩の皆さんなど、いろいろな仲間ができました。ほんとうに仲間との出会いに恵まれました。人生を共にする同級生、人生を教えてくれる先輩方、そして時代の流れを教えてくれる年下の世代。4年生のときに後輩たちといろいろな話ができたことは、ほんとうによかったですね。同期や親しい仲間たちとのつながりは、今でも続いています。SNSで連絡を取り合っているのですが、半数は海外に出てやりたいことをバリバリやっていて、すごく充実した生活を送っているようです。みんなに負けないように僕も頑張ろうと刺激を受けていますし、仲間とのやり取りを通じて、慶應義塾への里帰りもしたいと思うようにもなりました。僕にとっての里帰り、それはいつか体育会蹴球部の監督に就任するという夢の実現です!

Q. 後輩、塾生への想いを聞かせてください。

A. 失敗をしにいける勇気がないと、いざというとき勝負できない。


ラグビーをやっている後輩たちも、そうでない塾生のみなさんも、今を楽しんでほしいですね。僕も大学時代はラグビーだけをやっていたわけではありません。やりたいこと、興味のあることに全力を尽くして、あとで後悔しない自分をつくってほしいと思います。僕は高校生の頃、海外に行きたいと思いながらその一歩を踏み出せませんでした。自分が飛行機に乗ればいいだけなのに、それができなかった。塾生のみなさんは大学時代にしかできない経験をしっかり積んでほしいです。このインタビューが、慶應義塾大学を目指す高校生の皆さんのいろいろな準備をするきっかけになり、塾生の皆さんが昨日より少しやることが増えるきっかけになってくれたら嬉しいですね。
人生のいろいろな場面で勝負をする機会があると思います。そのとき、失敗をしてはダメと委縮するのが一番ダメなこと。そのためには日頃の練習で失敗もした方がいいと思います。失敗をしにいける勇気がないと、いざというときに勝負できないんですよね。緊迫した試合では、「勝負したなら、失敗しても成功」なのです。「成功のうちで結果がうまくいったか、うまくいかなかったか」というだけのもの。勝負しないことが失敗なのですから。スポーツに限らず、仕事でも同じだと思います。みんなそういう気持ちで仕事をすれば、気が楽になるのではないでしょうか。

Q. 塾員のみなさんにメッセージを!

A. 慶應義塾は世界に誇れる一体感のあるチーム。


僕は5歳のときにラグビーを始めました。それまでは引っ込み思案で、人前に出ることが苦手でした。しかし、ラグビーをやって気の合う仲間ができて楽しくなりました。慶應義塾大学に入ってさらに仲間が増え、人生が豊かになったと思っています。塾生からOB、OGのみなさんまで一体感があるのが慶應義塾のすばらしいところ。これは、世界を見ても誇れるチームだと思います。仲間同士、経験をどんどんシェアして学び合う。仲間が困っているときは助け合う。慶應義塾には、代表的な取り組みのひとつとして、「維持会」というとても良い支援制度があります。少額の支援で仲間を助けることができるこの制度に魅力を感じ、僕も最近維持会員になりました。塾員のみなさんあっての慶應義塾、仲間同士みんなで支え合っていきましょう!

維持会は塾生の挑戦を後押しする、古くて新しいとても良い支援制度。

総合政策学部入学後の1年生の終わりから2年生の間、オーストラリアへラグビー留学をしました。この経験から、グローバルな舞台で活躍できる強力な武器を獲得することができたと思っています。慶應義塾は多様で優秀な学生が集まる学び舎。可能性のある塾生一人ひとりの挑戦を後押しするため、僕たち卒業生の知恵と力を、寄付などを通じて還元していくことが大切です。代表的な支援制度のひとつに「維持会」という、明治以来の長い歴史を誇る古くて新しい、とても良い取り組みがあります。少額の支援で仲間を継続的に助けることができる制度に魅力を感じ、僕も維持会員になりました。仲間同士、みんなで支え合っていきましょう!

慶應義塾維持会に関する詳細情報はこちら
https://kikin.keio.ac.jp/ijikai/

※掲載内容は2021年11月16日現在のものです。

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