香川県出身
この度は、慶應義塾維持会奨学金の奨学生として採用していただき、誠にありがとうございます。心より感謝申し上げます。私は両親が早くに離婚し、私立大学に進学する経済的な余裕がないなかで親に懇願し、やっとの思いで慶應義塾大学に進学することができました。しかし経済難が解消されることはなく、アルバイトに明け暮れながら、勉学に励んでおります。そのような状況のなかで、慶應義塾維持会の皆様にご支援いただけるということ大変感謝しております。今後も、絶えず学問に日々励みながら、充実した残り3年間を過ごしていきたいと思います。
私は現在、メタ倫理学と呼ばれる分野を専門的に勉強しています。そこでは、規範倫理学の理論の中で使用される概念の意味を言語哲学的に分析することを通じて、価値それ自体を問い直すことが頻繁に行われます。また規範倫理学がどのようなモチベーションのもとでその理論を構築しているのかを検討することで、どのような道徳的判断の基準を採用しているのかを明らかにしようとします。
私はこのような倫理学それ自体を問い直すメタ倫理学という分野を通じて、動機付けや道徳的判断に関する人々の日常的な実践に適したのはどのような理論なのかということを明らかにしていきたいと考えています。というのも、従来の規範倫理学で行われていた議論は人々の日常的な実践のある一場面しか捉えることができないような理論ばかりが多く、現実の私たちの道徳判断の全体を捉え切れていなかったからです。このように、従来の規範倫理学をメタ倫理学によって問い直すことで、日常の人々の実践を十分に説明できる理論を考えていきたいです。
また、将来的には学士卒業後には大学院への進学も考えており、大学4年間で学んだ基本的な知識を基にして大学院では分野横断的に専門的な理解を深め、より良い理論の批判的構築に少しでも貢献できるように精進していきたいと考えております。
最後になりますが、慶應義塾維持会奨学生として採用していただいたことに重ねて感謝申し上げます。学問に日々一層精進してまいります。
香川県出身 文学部2年(2021年度)
この度は奨学生として採用してくださり、本当にありがとうございます。このような行き先の見えない状況の中で、私にとって非常に喜ばしいニュースとなりました。
さて、こうして奨学生として採用していただいたからにはますます学問に励まねば、と身が引き締まる思いです。私は文学部哲学専攻に所属しており、その研究テーマは「死の剥奪説」についてです。私たちはこの世に生きている限り、それが当人にとって善いことであれ悪いことであれ、様々な体験を享受しています。そう考えた場合、死はこうした「享受しえた体験」を剥奪するのではないかという見方ができます。トマスネーゲルに端を発するこの視点により、「死」をどうとらえるべきかという論議が今までに発展してきました。「死の剥奪説」から「死」は悪であるということが帰結されるように私には思えます。私はこれに対し何らかの批判をしたいと考えています。幸福や価値論の観点から批判するのか、あるいは東洋思想的な観点から批判するのか、その手法はまだ固まっていませんが、私は「死」に対して何らかの柔軟な扱い方を探りたいのです。(誤解を招かないよう強く主張しますが、死、特に自殺を肯定したいわけではありません。)このような時代に入って、改めて人間の生き方や考え方が問われています。どんな人間にもついて回る「死」について知り、考えることで、自身の生き方を新しい仕方で捉え直すことができるのではないかと私は思います。
学問研究をしていく過程で書籍の力は絶大だと考えています。対面講義が縮小されている現在ならなおさらです。貴会から頂きました奨学金のおかげでアルバイトをしなければならない時間を減らすことができますし、さらにはその代わりに本を読むことができます。そう考えただけで、私はとても嬉しい気持ちです。
再びになりますが、私を奨学生として選んでいただき本当にありがとうございます。慶應義塾維持会奨学生の名に恥じぬよう、これからも学問の面で精進していくことを誓います。
香川県出身 文学部3年(2020年度)
この度は、慶應義塾維持会奨学生に採用していただき、誠にありがとうございます。維持会より奨学金をいただくのは今回が二度目であり、そのご厚意に対し、どれほど感謝しても、し尽すことはできません。会員の皆様にはこのようなご支援をいただけますことを大変幸せに感じるとともに、深く御礼申し上げます。家族共々非常に喜んでおり、また感謝しております。
私の父は平成28年に癌性腹膜炎で他界しました。そのため、収入がなくなったので、母は預貯金を崩して私の学費を賄ってくれていました。今回の奨学金は、秋期の学費として使わせていただきたいと考えております。
私は四年生であるため、現在は、文部科学省で働くため、日々就職活動に勤しんでいます。私は、あらゆる子供たちが満足のいく学校生活環境を作ることが夢です。その理由は、都会と田舎の教育方針の差を大きく感じたからです。私の高校では、皆が一緒の教室で同じことを学び、同じ問題を解いていました。しかし、都内の友人の高校では、まず子供たちをレベル別に分け、そのレベルにあった内容を授業で行っていたそうです。私はこの話を聞いて、田舎の高校にいる子供たちは学校で自分がより高度なものを学びたいのにそのニーズに応えることができていないのではないかと思いました。それでは、自分がより上の大学を目指したいのにその夢も叶いにくくなってしまっていることでしょう。このような経験から、教育格差に興味をもちました。また、学童保育のアルバイトを通して、都内においても、所得格差から多くの子供たちが生まれた時から受ける教育というものが異なっています。生まれた家庭で受けたい教育が受けられないような状況を変えたいと思い、文部科学省に入省し、慶應義塾大学で培った力を発揮したいと考えております。
今回いただいた奨学金や慶應義塾大学の素晴らしい環境に感謝の気持ちをもって、慶應義塾維持会の奨学生の名に恥じないようにこれからも日々努力していきたいと思います。
香川県出身 法学部4年(2018年度)