島根県出身
この度は三年次までに引き続き慶應義塾維持会奨学生として採用頂きまして本当にありがとうございます。維持会の皆様のご支援のおかげで、学業に打ち込むことができること、本当に感謝の念に堪えません。
私は現在理工学部化学科で有機金属化学研究室に所属し、鉄錯体を用いた新規触媒反応の開発に取り組んでいます。有機金属錯体を触媒とする反応には、従来反応性の低かった位置を反応点にできるなど多くの利点がある一方、希少であったり毒性が強かったりする高周期遷移金属が多く用いられてきたという経緯があります。そこで、より環境負荷が少なく、将来に渡っての供給にも耐えうる金属への代替が求められており、私は地殻中にも多く存在する鉄を用いた触媒反応の開発、応用を研究しております。毎日研究室で実験の傍ら、研究室の勉強会では近年の論文に関する議論なども行ない、それぞれの研究の背景と最新の知見を得て広い視野で研究ができるよう鍛錬の日々です。これまで教科書で学んでいた事柄も、実際に自分で実験とデータの解析を行うようになると、多くの知識を組み合わせる必要があり、組み合わせるべき知識にたどり着けないことも多いですが、先輩や教授の助けを得ながら日々多くのことを学ばせて頂いております。このような学びに経済的な不安なく集中し、研究に全力で取り組めるのは、維持会の皆様のご支援のおかげであり、皆様から頂いたチャンスであると考えております。このチャンスを最大限に生かし、社会に貢献できる研究者となることで、この恩を返していきたいと考えております。近年、気候変動をはじめとする環境問題への対策が不可欠であると言われていますが、現代の化学工業では非常にロスの大きい方法がまだまだ多く使われています。つまり、1 kgの目的物を得るために、1000 kg、10000 kgの廃棄物ができてしまうというような状況です。大学で研究している有機金属化学の知識や経験を生かして、このような状況を改善し、持続可能な社会の実現に向けて、アトムエコノミーに優れた反応の開発に携わることが現在の目標です。この目標に向けて、日々研究に邁進する所存です。末筆ではありますが、維持会の皆様に、重ねて、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
島根県出身 理工学部4年(2020年度)
この度は一、二年次に引き続き慶應義塾維持会の奨学生に採用していただき、本当にありがとうございます。両親共々大変感謝しております。義塾の一員のみならず、維持会奨学生としての自覚を一層確かなものにし、日々学業に邁進する所存です。
私の両親は地元で小さな事業を営んでおり、両親にとって私と兄の関東での生活費、学費はかなりの負担になっております。私と兄を育てるために休みなく働く両親の負担を少しでも減らせることは私にとって大変嬉しいことです。また、学年が上がって徐々に難解になってきた授業内容を理解し、運用するためには、以前よりアルバイトに割く時間を減らして勉学に使いたいと考えており、維持会の皆様には重ねて感謝するばかりです。
私は現在、理工学部化学科に在籍しており、現在は三年後期に控える研究室選択を見据えて最後の基礎固めを行なっている段階です。2年次に学んだ古典的な解釈に基づいた化学の基礎を発展させ、今年度は量子力学的、分子軌道法的な視点から各分野の学習を深めています。また、実験では、二、三年次で理論を学ぶ反応による化合物を生成、現象の観察を通して基本的な分析機器の使いかた、測定データの解析法を学んでいます。後期には、有機化学合成の実験を行う予定で、必要とされる技術が今取り扱っている無機化学分野の実験と多少異なってきますので、現時点から大変楽しみにしております。授業内容、実験内容は難解な分刺激的です。化学反応を制御できるようになれば新しい材料やエネルギー資源などの開発に活かせるのではないかと考えており、将来はそのような研究に携わりたいと考えております。勉学は苦しいこともありますが、現在学んでいるメソッドや思考回路が、将来新しい反応、新しい技術を作り出す基礎になるのだと考えると自分を奮い立たせることができます。勉学に励み、必ず夢を実現させ、義塾に恩返しができるような人材となりたいと思っております。経済的な不安や過度なアルバイトなしにこうして学問に打ち込めるのは、人生において大きな財産でありチャンスだと考えております。維持会の皆様のご支援のおかげです。皆様からいただいた貴重な機会を最大限生かすつもりです。末筆ではありますが、慶應義塾維持会の皆様に重ねて御礼申し上げます。本当にありがとうございます。
島根県出身 理工学部3年(2019年度)
この度、慶應義塾維持会奨学金奨学生に選出いただきありがとうございました。心より感謝申し上げます。
学業の傍ら、お仕事をいただいて学校へ通っております。学業と仕事の両立に少々疲れが出始め、学業にもっと多くの時間を割きたいと困窮していた私にとって、この奨学金は本当にありがたいものです。
私は3月に島根県隠岐郡海士町から出てきました。私は大学を卒業したら、島の人を幸せにできる「私自身」をお土産に、島に帰りたいと思っております。そのため、どうしても学びたい学問、経験したい事柄が多くあります。今回は「慶應義塾で学ぶ貴重な時間」をいただいたと捉え、その時間を最大限、自己実現のために使わせていただきます。
私の学生生活の主軸として取り組んでいる事は「まちの終活」です。地方創生が謳われる昨今ですが、活性化の取り組みをするリソースがない地域、活性化に疲れてしまった地域というのは全国にたくさんあります。とはいえ、先祖代々続いてきた集落を閉じる、ということには大きな抵抗や罪悪感が伴うことです。この「終わり」や「撤退」、「看取り」という衰退期、終末期に際する自然の摂理をタブー視することなく、豊かな最期を求めるムーブメントを起こしていけるような社会の醸成に向け、研究や事業を行なっています。「まちを閉じる悲しみから、まちを紡いでいく希望へ」というミッションのもと、現在はオーラルヒストリーをはじめとする質的調査法について特に深く学び、まちの終活に際して不可欠な住民さんの声を誤りなく、そして最大限に引き出し、納得のいく終わりを創るお手伝いをするための基礎を学んでいるところです。今後もさらに学びを深め、すべての限界集落が終わりを考えることをタブー視せず、豊かに地域を閉じていけるような社会を目指し、精進いたします。そして、胸を張って第二の故郷、海士町に帰れる人物になります。
島根県出身 総合政策学部1年(2019年度)